塗り替えられない、塗り絵

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 この見慣れた空間にある窓から外を覗くと、広がる青空と、辺り一面を覆う真っ白な絨毯と、その上に、辺りとは雰囲気が違うんだぞ。と言いたげな大きな木が視界に入ってくる。 少し白さがちらつくそれには、俺とは対照的に自由に飛び回ることが出来る小鳥達がお互いに、何かを伝え合うように、木に泊まり、鳴いている。 「もうすぐ春ですね」 「いえいえ、まだ寒い寒い。足元を見てくださいよ、ほら。……ね、そうでしょう」 なんて会話しているのかな。と思ってしまった俺はとうとう不味いのかもしれない。 いや、今に始まったことではないな。  物理的には、調度手を伸ばすと届く位置にある、小物台の上にあるもの目掛けてゆっくりと右腕を伸ばすが、途中で少し気が変わった。  ……少し風を浴びたいな。 そう思い、この頃重くなり始めたその窓を開ける。  ……やっぱりな。まだまだ、寒いや。  ビュウッと体に纏わりつくようなその風は、春一番とは程遠いなぁ。と思いながら先程中断したことを再開するため、冷たい風が拐っていった数ページを戻し、閉じた状態のそれを手に取る。  そして、俺はゆっくり且つ、外から侵入してきた風とは反比例し、少し暖かい気持ちでそれに目を落とした。
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