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朝、俺達陽陰(ヨウイン)学園の生徒は、朝と夕方の30分ずつしか開かない学園の入り口“異界への扉”に間に合う為、急ぎ足で登校する
「今日は、余裕を持って教室に入れそうだな♪」
そう呟いた俺の前に長い髪を揺らしながら歩くアキラとショウを発見
思わず腕時計と携帯の時刻を確認する
だが、先ほど見た時より2分進んだだけで、まだ時間に余裕がある事を再確認しただけですんだ
いつも遅刻ギリギリで登校するのに珍しい
とりあえず、2人に声をかける
「アキラ~、ショウ~」
名前を呼ぶと振り向く2人
「あ、拓人!おはよう♪」
「拓人か!チャオ♪」
「おはよ~♪2人とも今日はやけに早いな、何かあったのか?」
挨拶もそこそこに先ほどから気になっていたことを尋ねる
すると…
明るくニカッっと笑っていたアキラの顔色が急に悪くなり、ガタガタと肩を震わせながら地面に視線を落とす
あぁ、何となく理由わかったよ
そう心の中で呟いた直後ショウが口を開いた
「いつもはアキラがご飯作ってくれてるから今日はアキラの為に朝ご飯を作ってあげようと思って支度してたら“ショウ!!飯はボクが作るから出来るまで新聞でも読んどいてくれ”って飛び起きて来たんだ」
ショウの説明聞いて思った一言…
あぁ、やっぱりか…
ショウの作る料理は何故か全部、暗黒物質(ダークマター)になるからな
俺、前にショウが作ったマカロン食べた時倒れたんだよな…
あの時、川の向こうで死んだ爺ちゃんがバタフライしてるのが見えたわ~
トラウマだ…
「そ、それより、ほら!さっさと学園に行こうぜ♪」
感傷に浸っているとアキラが声をかけてきた
「それもそうだな!」
そう言って俺達は再び歩きだした
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