僕とアナタと距離と壁

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ようやくあと5分で四時限目が終わる。 そのせいか時計の針ばかり目で追ってしまう。 早く授業が終わればいい… そしたら直ぐに購買へ駆け込んでパンを買おう。 …もしかしたら先輩に偶然会えるかもしれないし…なんて。 …流石にこの発想はキモイか…。 授業そっちのけで脳内会話が止まらない。 あと5秒…4…3…2…1っ!! 授業終了の号令が終わると同時に教室を飛び出した。 「…おい、沙樹っ!!」 親友が呼び止める声も聞かずに駆け出していた。 脇目も振らずに2階から1階にある購買部へ。 そこには既に3年生の長蛇の列が出来ていた。 いくら号令が終わったと同時に出たとしても教室が1階にある3年生には到底適わない。 だがそんなことは初めから判っていた、判っていながら急ぐ目的は先輩の姿を探すこと。 その次に自分のパンだった。 辺りを見渡す。 ここには…いない この列にも… 先輩の姿は見当たらなかった。 今日はいないか…こればっかりは仕方ないよな… 自分に言い聞かせて列の最後尾に並ぼうとした時だった。 遠くで聞き慣れた笑い声が聞こえた。 声のした方へ目を向けるとそこには支払いを終え、パンを沢山買って満足そうにする先輩を彼の友人たちが取り囲む姿が目に入った。 楽しそうに笑い合いながら… どうしようもなく先輩を遠くに感じた。 生きる世界が違う。 直感的に思ってしまう。 あぁ、なぜ見つけてしまったのか、 気付かなければ…よかったのに… 思考が闇に堕ちる。 結果、暫くその場に立ち尽くしてしまった。
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