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先輩の音読が終わると暫く重い沈黙が辺りを覆った。
その中でひたすら考えていた。
言葉を紡ぐことも忘れて。
声に出して読み返されると自分の病み具合が浮き彫りになる。
改めて思い知らされた。
さっきの全身を焼かんばかりの熱は引き、今は不思議なくらい冷静だった。
暫くして重い沈黙は、先輩によって破られた。
「……東雲?…その…すまない、大丈夫か?」
余りにも僕が何も言わずに俯いていたので心配になったようだ。
「大丈夫です。僕は至って普通ですので…。」
「あ~…そうか、なら良かった…」
何とも気まずさが残る歯切れの悪い会話だった。
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