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「本当、東雲が書く小説は破滅的だよな。」
「悪いですか?これが僕のスタイルなんです。」
「誰も悪いなんて言ってないだろ?俺はお前の書く小説好きだぞ。」
「へぇ。初耳ですね。ありがとうございます。」
「なんだその棘のある言い方は、素直に喜んだらどうだ?誉めてるんだぞ?」
少し共同不振な先輩の言動に違和感を覚え、彼に問う。
「……何が言いたいんですか?」
「…え~と…つまりだな…もう少し素直な小説を書いてみないかということなんだが…」
「はぁっ!?」
「いや…そのぉ…お前が書くハッピーエンドを見てみたいと思ってさ…。」
「…へぇ、先輩って案外ガキですね。」
放課後の文芸部室での他愛の無い遣り取り。
部員は僕と先輩の二人だけ。
この穏やかにゆっくり流れる時間が痛く幸せで僕は部活だけを目当てに高校生活を送っていた。
先輩は3年生で名前は諏臣 徹(スオミ イタル)。
彼は僕とは違って綺麗で繊細な小説を書く。
1年の頃何の取り柄もなく、したいことも見つからず、ただ机にかじり付いて勉強するのにも辟易していた、そんな時、文芸部室の掲示板に張り出されていた彼の小説に出会った。
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