僕とアナタと距離と壁

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キーンコーン カーンコーン キーンコーン カーンコーン 授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。 長く退屈な時間が終わり、生徒は席を立ち各々の行動を始めた。 瞬く間に教室中が騒がしくなる。 僕もその中の一人だった。 唯一の友達の元へ向かい、他愛のない話しで盛り上がる。 「…で………がさぁ~…なぁ、どう思う?沙樹。」 「へっ!?」 友人に呼び掛けられて我に返った。 友達と会話していた筈なのにいつの間にか部活のことばかり考えて上の空になっていた。 早く部活がしたい。 …先輩に会いたいー…。 そのことで頭がいっぱいだった。 「ごめん、冬哉、聞いてなかった。もう一回」 悪い、悪いと手を併せて幼馴染みで親友の西宮冬哉(ニシミヤ トウヤ)に謝った。 「はぁ~…またかよ。東雲 沙樹さん、ちゃんと親友の話は聞きましょうね~」 わざと小さな子供を諭すような口調で皮肉を言う。 「分かってるって、ごめんって。子供扱いすんなよ。」 わざと少しふて腐れたフリをする。 それがいつもお馴染みの友人との他愛ないやり取り。 別に冬哉が本当に怒ってる訳でも、僕が本気でふて腐れてる訳でもない。 小さい頃からの言葉遊び。
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