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「これが私の息子、ジャックだ」
ジャックはロンドンに背を押され、半歩前に出た。
「ジャック・トゥエルブゲージ・アンジェロだ。よろしく頼む」
変わり始めの声を唇から吐き出し、気だるげに手を差し出す。
煌めくような艶を持った前髪がふらふらと揺れ、七分目までしか開いていない瞼を撫でていた。
「坊ちゃんの護衛をさせていただきやす。アリス・スペードエース・リデルでござんす。いやー、実に美味そ…げほん! 麗しいご子息ですな、旦那!」
咳払いで本音をかき消そうとしたが、近くにいるジャックには聞こえたろうと思い、こっそり顔色を伺うアリスだったが、その表情は相変わらずすましている。
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