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よく晴れた秋空の下、ボロボロの荷馬車が牧草の山を積んで走っている。
そしてその上には、黒い修道服を身に纏い胸に人の背丈程の銀の十字架を抱いて、黒い頭巾を被った金髪の女性が寝転んでいた。
深いスリットからスラリと長い脚が覗いている。
女性は右手に革張りの手のひら大の本を開いていた。
「「あなたが道を歩くとき、決して恐れる必要はありません。信じる者は救われる。何故なら、全ての人間は信者であり、そうでない者は獣か何かだからです。寧ろ積極的に蹂躙しましょう」…祝福を」
そう言って立てた親指で十字を切ると、教典と思わしき本を閉じて、ウエストポーチにねじ込んだ。
「どうだいおっちゃん?こんなんでイイかな?」
女性、アリス・リデルは祈りの時とは打って変わって、少しぶっきらぼうな口調で御者に呼びかけた。
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