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ロンドンは、政敵の魔の手の届かぬ遠くの親戚の屋敷に自分の一人息子を避難させる為、道中の護衛をアリスの教会に依頼したのだ。
教会と政治の繋がりが密接なこの国では、力の弱い教会が貴族に媚を売るため、"貴族の為の便利屋"を秘密裏に営業していることも少なくない。
アリスはその中でも汚れ仕事を担当する神女だ。
必要とあらば、人を殺めることもやむ無し。そんな依頼にはうってつけだった。
やがて街の関所に到着し、御者とアリスはそれぞれ番兵に身分証明書を見せ、門をくぐってすぐに二人は別れた。
「腹減ったなァ……」
アリスはスラリとした修道服の上から腹を擦って、辺りを見回した。
小綺麗な白壁に、オレンジ屋根の立ち並ぶ眩しいような街並みの中、少し年季の入った建物がふと目についた。
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