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「今日皆さんを担当する、明石知香ですのでよろしく」
第一印象は脆くも崩れ去り、酷くぶっきらぼうにみえた。三日月型の眉に切れ長の目が合わさることによって研ぎ澄まされた眼光は、強制的に人を射すくめる力がありそうだ。
「女子ばっかか」明石さんは呟いた。
僕は周囲を見てみる。女子ばっか、というか男は自分一人だった。
「この教室で軽く説明したあとは、皆さん自由行動になるので安心してください」
何を安心するんだろう。まあ、いちいち突っ込まないほうがいいか。
明石さんは手元の資料……というかメモ帳を見ながら話を始めた。
「皆さんはこの水引高校についてどれだけ調べたかはわかりませんが、私からみればそれはまだ、無知にも等しい知識です。何故ならこの学校は、とても特殊で特異な高校だからです」
「……斬新な入り口だね」隣に引っ付いている瀬川が囁いてきた。
「斬新ていうかなんていうか。あの人、生徒を入学させたくない理由でもあるのか」
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