14人が本棚に入れています
本棚に追加
光流くんが言った言葉の意味をやっとの思いで消化したあたしは、それでも、現実とはかけ離れた事のようで、２歩３歩と光流くんから後ずさっていく。
｢ でも、恋人同士の付き合いとかしてたわけじゃないし…。｣
ようやく、口に出せた言葉は、かすれてうまく声にならない。
｢ 確かに、それに関しちゃ悪いのは俺だけど、でも、キスはした事あるだろ？｣
尚も後ずさろうとしたあたしの左腕を、光流くんが笑って掴む。
｢ …携帯の。アドレスどころか、番号も知ら…な…い…のに。｣
ぽろぽろとこぼれ落ちた涙は、光流くんの眼には映らなかったかもしれない。
ぐいっと、腕を引っ張られ、次の瞬間あたしは、ぽふんと、光流くんの腕の中に収まっていた。
最初のコメントを投稿しよう！