七色の雪が舞う夜に

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あかり…と、手を上げ、声を出そうとしたあたしの口を暖かい手が、ふわりと塞ぐ。 そっと光流くんを見上げれば、彼は左の人差し指を自分の口元に当て、次に亜花里と穂高くんを示す。 促されるまま、亜花里を見つめると、彼女もあたしと同じように空に手をかざしていた。 その傍で、携帯から眼を離した穂高くんが、亜花里に何か話掛ける。 肩をすくめて頷いた彼女に、穂高くんはダウンのポケットから取り出した手袋を渡した。 もう一度携帯に眼を戻し、2、3度、指を走らせた後、穂高くんは携帯をジーンズのポケットにしまう。
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