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自分の事を棚に上げて、彼が自分のことをどう思っているのか想像してしまう。
彼は私を見かけたことがあって、面白観察相手として見てたかもしれないけれど、私からしたら、今日、それも会って小一時間しか経ってない人。
想像を遥かに越えて、妄想になりそうだから、客観的なご意見を聞いてみた。
「喫茶店で席が無くて、相席になっちゃった~みたいな?
おぉっと、相席の彼、カッコいいなぁ~。ラッキー♪みたいな」
「あんた、それは自分都合良過ぎでしょう。
言うなれば、
カップル限定のサービスのあるお店に入る為に、近くにいた人をナンパして一緒に入ってもらった。
とかのほうが、よっぽど今回に近いんじゃない?」
あれ、待てよ??
「それって、わたしが、ナンパしたってこと??」
「ナンパ成功おめでと!
それで引っかかってくれたお兄さんに、キスされちゃったと?
お持ち帰れされなくて良かったわね~」
「もしかしなくても、危ないこと、した?」
「もしかしなくても。
知らない人と二人きりの環境を作るとか、絶対有り得ないから」
怒られた。
茅ヶ崎 潤美(ちがさき ますみ)
高校時代からの友人で、歯が寒そうなほど歯に衣着せぬ人物だけど、困った時は相談に乗ってくれる。
…相談と見せかけて、面白がってるだけかもしれないけど。
「でも那津にしたら、上出来じゃない?」
「・・・絶対有り得ないんじゃなかったの」
電話の向こうでクスクス笑う。
良かった。
今日の機嫌は良いようだ。
ブライダル関係の会社に勤めているのに、当人は独身を貫くと言って聞かない姉御肌。
女性の夢や希望を実現にさせる仕事についていながら、どこまでもリアリスト。
最近では、不甲斐ない新郎が多くて困ると、息巻いていることが多い。
「イジケなさんなって。
あんたは、いっつも変な奴に好かれるのよ。
さもなくば、あんたが絶対に手に入らない男を好きになるとか。
でも、今度の男は脈もあって、変じゃないんでしょう?」
「う~ん。いきなり、キスするのは変じゃないの?」
「そりゃ変というか、肉食過ぎだけど。
ワタシが言う変っていうのは、本当に変ってことでしょう?
ニタニタ笑ってばかりのオジサンに好かれて寄ってこられて、しつっこく話しかけられたり、
いまどき野球帽みたいな帽子かぶって、でっかいバッグというか、リュック?を背負ってるようなのとか」
「・・・・・・・・うん」
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