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 確かにそうなのだ。 何故か、本当に変なのに好かれるらしい。 思い出してゲンナリする。  以前の勤めていた会社は、駅から更にバスに乗りかえていたのだが、そのバスの中で出会う人が大抵おかしかった。 もしかしたら、その関係の学校とか、そういう方を優先的に雇っている会社があったのかもしれない。  差別は良くない。 それでも、他の人も乗っているのに、わざわざ私の隣に立って、訳の分からない歌を聞かせてきたり、顔を近づけてこられたり。 他の人にもやっているのかと言われれば、そうでもなくて。 何故か上機嫌に、一目散に私のもとへやってくる。 足を踏まれたり、目の前の人が立ったので座ろうとしたら、押しのけされてまで席を取られたり。 しかも座席に座ったかと思うと、ニヤニヤとずっとこちらの顔を見て歌っている。  それがバスの時間を変えても、誰かしらそんな人がいるのだ。  5年弱、よく我慢できたと思う。 帰りは遅かったので、他の社員にターミナル駅まで送ってもらっていたから会わなかったけれど、正直つらかった。  同じバスを使う同僚にも、何か手を貸したりしたのか?と聞かれたけれど、まったくしてない。 正直、苦手意識があったから、なるべく視界に入れないようにしていたくらいなのに。 ともあれ、苦い記憶だ。 「あとは、あれか。最近だと、妻帯者!」 「・・・・言わないで」  彼女が言うのは、先日まで付き合っていた人の前。  二人きりで会うようになる前に気づいたけれど、仕事で少しだけ縁が出来た男性と、メールのやり取りをしていた。  女子力を高めるためにと、私にしては上出来!と思うくらい、がんばってメールを打った。 自分のことはあまり話さず、メールは短めに。 相手のことを褒めてみたりした。  そうしたら、なんだか男性の方が乗り気になってしまい、 会いたい、という話になって。  最初のうちは、良いですねぇ~、でも時間があわないですねぇ~、残念ですねぇ~と流していた。 そうしたら更に相手のツボに入ってしまったらしく [君は不思議な魅力のある女性だ。 君みたいな人は初めてです] のようなメールが来るようになって、ここら辺から、ドン引き。
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