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 私の彼は、同じ会社の営業マン。 本社は九州の久留米にある。 東京支店には、久留米から赴任して来る人も多くいて、彼もその一人だった。  彼の方から告白されて、お付合いすること半年。 『あと2.3年勤めたら戻ることになりそうだ』と言うことも聞いていた。 その頃になったら『一緒に来て欲しい』的なことを言われて…と、風船みたいにぷかぷかと夢を膨らませていたのに。 「ごめん、」 「仕方ないよ。それで、いつ戻ることになったの?」 「急いで引き継ぎして、三月には行くことになった」 「そっか。うん、忙しくなりそうだね……。この前みたいに、寝不足て倒れたりしないでね?」 「ホント、ごめんな。那津……」 自分から『一緒に行きたい』なんて言えるほど、彼を愛しているわけでもなく。 彼からも言われなくて。  あっけなく、この恋は終わった。
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