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* 「あ~、可笑しかった!」  主要駅に着くと、一斉に人が降りて行く。 私達も同じ駅で電車から降りた。  隣では未だ笑みの残る彼と、仏頂面の私。 「全然、おかしくない!!」 「ごめん、ごめん。これ以上笑わないので、那津さん」 「ん?」  そこはちょうど中央改札口。 「また、来週」  一旦立ち止まって。 「・・・月曜の朝に、ね。 お仕事、頑張ってね!」 「那津さんも」 「うん!」  小さく手を振り、それぞれの道へと歩き出す。  こうして誰かとい一緒に通勤するのは、何時振りだろう。 いや、そもそも高校時代から一人遠方から通っていたから、そもそも誰かと一緒に通勤したことも、通学したことも無かったような・・・・。 「全然、本が読めなかったなぁ」  でも、なんだろう。 ー凄く、やる気出たー  頑張ってと、言い合える人がいる。  一緒にいて自分を繕わずにいられる人がいる。  わくわくするような、走ってしまいそうな、そんな気持ち。 「大崎 遠矢君、か。」  その名前を口にしたとき、自分が微笑んでいたことに気づくのは、少しだけ先のこと。
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