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2月14日 木曜日 「はあー:」 今日は忙しかった~。  経理があんまり仕事をしてくれないそのツケが、営業事務にのしかかる。 営業マンは多いのに、その事務は一人。 何人もの仕事を把握して、彼らが社外に出て居る間も、円滑に仕事を回すのが営業事務の仕事なのに。 「振込のチェックとか、明らかにオカシイっての!」  誰にも気づかれないように毒づいて、ついでとばかりに空を蹴った。  月末から10日前後にかけて、経理から通帳を渡されて、売上と入金金額に相違がないかをチェックをする。 未入金の会社があれば、その会社に電話して確認までする。 ーそもそも売上表提出してるんだから、それでチェックするもんじゃないの??ー  以前は売上表は経理が作成して、それをもとに彼女たちが振込確認をしていた。 最近では売上表の作成から入金チェック、さらには仕入れからの請求書チェックからの表作成。 果ては振込先の銀行と振込手数料の表記まで全部やらされ、経理がオンラインで入金した支払請求書はこちらに戻ってきて、バインダーに収めることまでやっている。 ーこれも全部、必殺前倒しのせいでー  保土ヶ谷部長。 別名:前倒しの保土ヶ谷。  ここ東京支部の責任者で、支部全体の売上と支払に目を光らせているのは当然だけれど、月の半ばにして 「藤澤君、今月の売上はもうまとまったかね?」 などと聞いて来る。 今月が終わるまで、半月あるという常識は効かない。  故に、毎日営業を脅し、当月売上になる見積を、社内共有フォルダにぶち込ませ、それに原価計算を作って、請求書も同時に作成して。 「はい。今月の売上は、……月末までに増えるものも見込んで、…。仕入れは……の予想ですので、粗利は……になります」 「いやぁ、藤澤君がいてくれると安心して仕事ができるなぁ」 「いえ。頑張って仕事をとってきてくれる営業の皆さんのおかげです」  優等生らしい見事な返答、笑顔付き。  聞かれるから答える。 答える為に用意するのは仕事であれば当然のことなのに。  しっかり経理に恨まれた。  あちらからしたら、『何、営業事務ごときが大きな口叩いてるのよ!』と言ったところかもしれない。 だからって、経理に聞いていたら、月が終わってしまうから、部長だって前線に居る私に聞いてくるのに。 ー女の世界って、いろいろあるものですよ・・・ー
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