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*  仕切るものが何もないフラットな空間。 一番面引くのは、グリーン真ん中に置いて、それを囲むように作られた丸いテーブル。 「個人のデスクが無い・・・・・」 「ええ。 流石にパソコンは個人のものがありますけど、席はその日の気分です。 いつも同じところだと、同じ見え方しかしないので」 「うん。・・・・私、この空間好きだわ」 「そう言ってくれると思いました」  今日一番の誇らしげな笑顔。 「適当に座ってて下さい。 いま、コーヒー用意しますから」 「あ。ねぇ、私用意しても良い?」 「え?」 「大崎君は仕事をしに来たんでしょう? 私の事は良いから。 それで、あの、少し見て回って来ても、良い?」 「分かりました。それじゃ お願いします。給湯スペースは右手ですから」 「ありがとう」  小さく笑った大崎君は、さっそくパソコンを立ち上げる。  今日は窓を向かいにした席で,仕事をする気分らしい。  さり気無く置かれたグリーンが目に優しい空間。 棚や収納ツールも、無機質なオフィスようでは無く、立派なインテリアに見える。 人数は10人くらい? 「うわ!」    給湯スペースにきて、思わず声をあげてしまった。 「那津さん?」 「あ、煩くして、ごめんなさい! 「どうかしましたか?」 「すごい本格的なコーヒーがあるんだけど!」  此処は喫茶店か?と聞きたくなるようなコーヒーメーカー。 コーヒーメーカ―用のセットもあれば、お湯を注ぐだけのインスタントも、さらには豆まである。 ー会社でコーヒー豆挽いちゃうってことよねー  手挽きのミルもあるし。  ここの会社の人は、どれだけコーヒーが好きなんだろう?? 「息抜きも重要ですから。 初期費用はかかっちゃいましたけどね」 「これだけのものを用意したらね~。 これじゃ喫茶店に行かなくて済んじゃいそう」 「だったら那津さんが、コーヒーを飲みたくなったら、ウチに来てくれますか?」 「残念でした。私はどちらかというと、紅茶派なの」  そんな軽口を叩く。 「それ、使ってみますか?」 「ううん。覚えきれないから、自分のやり方で淹れるわ。  大崎君も喉渇いてるでしょ?苦いの大丈夫?」 「苦いのも甘いのも大丈夫です。  ちなみに、今色々餓えてるんで、 食べたいのも、飲みたいのも、那津さんです」  サラリとすごい言葉が返ってきた。
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