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「ねえ、大崎君は、いつもこうなの?」 「はい?」  何を聞かれているか分からないと、聞き返される。 「だから、誰でも、女性を引き込んだりするの?」  それは、自分をセーブさせる為の問い。  出会ってまだ三日目。 それなのにキスもされたし、何度も思わせぶりな事を言われた。  どこまでが本気?  全部がウソ? 「俺の事に、興味が出てきた?」 「………」  今までと違う口調。  艶っぽい表情に、息をのむ。 「興味、出た」  こくん、と頷く。  知りたい。    貴方の中の私の位置を。 「ほんと、可愛いすぎるなぁ」 「?」  困ったような溜息が、唇に触れた。 『ごめん。背中痛くない?』  煌くような瞳に引き込まれて、正直、他がどうなっているのか分からない。 「あっ、」  口付けの間に、彼の大きな掌が、太腿を撫ぜる。 その間も、唇に、耳許に、首筋にと、キスは止まない。  会社に行く、と言われたので、今日着ているのは、落ち着いた茶色のスーツ。  次々とボタンを外されて、 プツン、と最後の音は背中から。 「こんな事すると、慣れてると思われそうだけど」 「うん」 「そこで即答されても、傷付くんですけど」 「だって、ボタンを外す仕草とか、慣れすぎ。早過ぎ。色気有り過ぎ」 「那津さん、最後のは嬉しい」 「……わたしのほうが、色気無い」 「この状況は、俺からしたら、凄い色気があるんですけど」  白いテーブルに押し倒されて、私の視界に入るのは、彼の顔を白い天井。    彼の表情は、今までのそれと変わらないように見える。 「随分 余裕そう。」 「余裕というより、」  貪るようなキス。 「いま、必死に散らしてるところ。 ホントは、早く那津さんの中に入りたい」  飢えた獣の様な眼差しに、それまでと違うものを感じた。
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