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 古参の営業マンは、経理のことを『大奥』と呼んでいる。 上下関係が厳しくて、派閥もある。 私は、飯炊きとか、そんなところ。 上から命じられる仕事で精一杯、なフリ。 だから今日も、 「これ、確認しておいてね」 経理から言外に聞こえる『これくらい出来るでしょう?』に、表情を変えずに「畏まりました」。 勿論できますとも。 嫌な顔だって、してやるものですか。 支部長も勿論気付いてはいる。 それでも何もしてくれない。 ーわかる。わかるよ。女って、怖いからね!ー 感情で動く生き物の恨みなんて買っていられない。 今の立場よりも上に行くつもりなら、尚のこと上手く立ち回らないといけない。 どうせ私はしがない飯炊き女(営業事務)だし、仕事が無くて手が空いてしまうよりは全然ましだから、仕事であれば拘りなく受ける。 ただ、ちょっと疑問。  ・・・・彼女たち、一体どうやって時間つぶしてるの??  それはかなりの謎だ。  色々思うことがあっても、女の恨みをかってしまったのだから、諦めるしかない。 それほど苦でもないし、自分の財布じゃなくても、お金のチェックをするのは楽しいから開き直るとして。 だけど更に精神を圧迫してくれることに、折角持ち上げてやった営業マンも手抜きをする奴が多く、最近では客先のほとんどが私に確認をとってくる。 メールのccが営業事務(私)が入っているうちは、なんて親切なお客様!と、感激するけれど、 次第に、私がメインで担当営業がccに、あれ?と疑問に思い、 最終形態は、担当営業あてのccがなくなり、私宛のメールになって、ギョッとする。  …私、事務屋ですけど?  こうなると仕事に問題が出て来るので、私から営業マンに届いたメールを転送する羽目になるのだが、営業事務からのメールは重きをおかれずに忘れられるか、そもそも読まないか。 そして外出先で話が通じず、結局客先から直接電話がかかってくるという事態が待っている。  それで お客様は良いのかというと ”誰か”がしっかり把握していれば、誰であっても良いらしいです。 「藤澤さんに任せておけば、◯◯サンより早いし、全部やってくれるし、報告も丁寧だから」 だそうである。  明らかにやり過ぎたのだ。 適当なところで手を抜けば良かった。 でも、 ー全部把握してた方が、やりやすいのよー 困ったことに、やや仕事中毒気味。
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