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「はぁ・・・・。 那津さんは色々なことに感情移入しすぎです。 そこが那津さんらしいところだけど、心配になってきました」 「え?」 「きっと他の人なら見過ごしてしまいそうな事にも気を留めて、貴女は泣くんでしょう?」  それは最近今まで以上に泣き虫になった気はするけど、そんなに繊細な人間じゃない。 「そんなんじゃないわ。大崎君こそ、私を美化しすぎよ」 「そうでしょうか? 那津さんが心配するから言いますが、結構豊かな生活でしたよ。 この歳で自分の会社が持てたのも父の援助があったからです」 「・・・・本当に?」 「本当です。 だからそんなに そそられる顔をしないで下さい。 さっきもあれだけしたのに、また触れたくなってきたから」 「っ!」 「あ~あ。またそんなに顔を赤くして。 可愛いんだから」  ちょっと砕けた口調は、彼の飾らない素の表情。  年の割に落ち着いた喋り方はその所為なの?  綺麗な笑顔で取り繕った顔は、大人に嫌われない為の仮面? 「な~つさん」  からかうような彼の声。   「・・・・ねぇ。美味しくないのって、コンビニのお弁当とか?」 ーねぇ、私は何が出来る?-  貴方が好きなのよ。  貴方がしてくれたように、貴方の憂いを取り除きたいの。  余計なことかもしれないけれど。  ねぇ、貴方の人生に、私を関わらせてほしいの。 「はい?」 「私の淹れた紅茶、美味しいって言ってくれた」 「確かに。那津さんが淹れてくれた紅茶も、今日のコーヒーも美味しかったですね。 作り手にも問題があるんでしょうか? 案外、那津さんが作ってくれたら、なんでも美味しく感じるかもしれませんね」 「言ったわね?」 「え?」 ー嫌なら嫌と言ってね?ー 「今日の晩御飯。私が作った料理を食べてみない?」 「え?!」 「素人だし、美味しく作れるかわからないけど、一人で食べるのは寂しいでしょう? って、そうだ。 あんなに食べたから晩御飯要らないか・・・・」  思いつきとはいえ、良い案だと思ったのに。 「そんなことないですっ! 食べます!絶対入りますっ!! え、マジ嬉しい・・・・・!!!」  口元を抑えた大崎君は、子供みたいに目をキラキラさせていた。 砕けた口調が歳よりも幼くて、なんだか可愛い。
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