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全部管理しているから、何が足りないか分かる。 補填する為には幾つ必要で、その為にかかる費用が幾らで。 見積と一緒に、作業に必要な日程表を提出。 客先で稟議が通れば製造開始。 配送の手配をして、必要なところへ届ける。 月末の早い段階で請求書を出して、客の財布事情を予測して、次月の予算に余裕があるようであれば、"これはどうですか?"と持ちかけ見積を出して。 これを12回繰り返すと1年。 お客様は見積をチェックして稟議書を提出するだけ。 あとは何もせずに、必要な時に、必要な物が届く仕組みになっている。 嗚呼、お客様が必要な物と、その部数をまとめて、見積を依頼してくれて、言われた通りにしていた過去が懐かしい。  その代わりと言ってはなんだが、 ここまできたら、お客様の上層部が変わった、とか、こちらが大きな問題を起こさない限り、我が社が切られることはないだろう。 ー何、必死になってんだかー 心の中の、もう一人の私が囁く。 誰かに必要とされていたい。 いつだって、 「君がいてくれると助かる」 と言われていたい。 「藤澤さんじゃないと、ダメなんだよ」 なんて言われたら、天にも昇れそう。 ・・お客様に言われたことは幾度かあれど、恋人からは言われた試しはないんだなぁ~。  それが私。 藤澤 那津(ふじさわ なつ)31歳だ。
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