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「1340円になります」 「あ、はい!!」  隣の男性が急に声を上げたことに気をとられて、お財布を用意していなかった。  店員さんに言われて、わたわたとお財布を探す。 丁度の金額を渡して、ケーキ箱を受け取る。 「あの、ナポレオンパイって・・・・」 「申し訳ございません。先ほどので最後でして・・・・」  店員さんと男性の視線が私に向かっている気がする。   「・・・・・・・・」  なんだか居た堪れない! 「あ、あの。お兄さん、ちょっと・・・・」 「は、あ??」  私のせいでナポレオンパイを買いそびれた男性は、私より若い感じの青年だった。  だからだろうか”年寄くさいな”とは思ったけれど、”お兄さん”と呼びかけてしまった。  店員さんの不審な目を避けて、商業施設入口まで連行する。 「・・・ナポレオンパイ、いくつ欲しかったんですか?」 「一個ですけど」 「あの、お土産、とかで??」 「いえ。お恥ずかしいですが、自分で食べようと思って」  不審そうなのは男性も同じだった。 正直に言えば、自分だって”何やってるんだろう?!”で頭ん中はいっぱいだ。 自分で自分が分からない。   けれどいつもと違う気持ちで話し続ける。 「あの、お時間ありますか?」 「はい?」  ええ。その反応もごもっとも。 「私も一つ食べられたら十分なんです。  だから、その・・・・・」  こうなれば、女は度胸。 「一緒に食べませんか??」  賽は投げたのは、ワタシー
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