序章

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 力強く言い切ったところで、拍手も喝采も湧きはしない。ただだれもが、無言で深くうなずくだけだ。おそらくそれがいつものことなのだろう。  少年は不安げに、隣に立つ黒い服の、自分より背が大分高い少年を見上げた。今の彼にとって、ただ一人の友人だ。その友人は微動だにせず、ただ神父を見上げている。 「十年以上前から、全国で幼い子供たちが失踪する事件が続いている。私は、彼らはおおむねレネゲードにさらわれたのだと考えている。不老不死を実現させるための、人体実験の被験体として」  静寂。まるでなにをわかり切ったことをと嘲笑うかのような沈黙が降りた。なるほど、これもいつもの話らしい。  けれど、
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