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町を出て五分ほど経つと、喧騒も耳に届かなくなった。
果てが見えない白い地表と青い空の間で、出発直前に貸してもらった、昔書物で見た駱駝に似た生き物が、ぶるると低い声で啼く。
兄さん、ここには着いたばかりかい?
――ああ。
で、これからどっちへお発ちだ? “楽園”ミナレリス?
――いや、南へ行く。
船に乗っての移動も四日目で一区切りがつき、アフ=アフエトルという砂埃舞う活気に満ちた町に到着した直後のことだ。
これから先の旅に備えて食料を買い求めたよろず屋のオヤジと交わしたやり取りの中で出た言葉が、相手を唖然とさせた。
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