第2章 今日は10位なんだ…

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「アハァハ!いやー私達よく逃げ切れましたね~!」 「…………。」 ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。 「普通捕まるでしょ普通!?冗談でもやってみるモンですねー、脱走っていうのも♪」 「…………いや、あの……」 「ってか、孝さん!アナタ何モンなんですか!?凄かったですよ!カッコよかったですよ! こう…、警備員の通信機をスパパーンって!鳩尾をドゴォって!! これから孝さんのこと師範代って呼んでもいいですかぁ!?」 「ああ、あれは『鬼心流』って言って……」 「あーっ! 孝さん孝さん孝さん孝さん!!」 「…………。」 「月ですよ月!!頭の上に月があります!アハァハ!いつもは天井で見えないのに!何で今日は見えるんですかねぇ?」 「…外だからじゃないですか?」 「おほぉ!そうですよ!ここ外ですよ!もう私は自由!私自身が自由の体現者! 今すぐ自由の女神のモデルを私に替えるべきですね。ん?でも孝さん。女神にとって、あの状態は果たして自由と言えるんでしょうか? あんなバッキバキに固められて尚、自由の象徴だと言う辺り、価値観の相当偏った女神なのではないでしょうか? ちょっと引きますね…」 「………………。」 ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、 ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。 「しかしまぁ、あれですね。 これが所謂、シャバの空気ってやつなんですかねぇ? 確かに何か、草やら葉っぱやらシャバシャバって音たててますけど、何かイメージと違うのは何故なんでしょう?」 「あのぉ……」 「はっ、そうです忘れるところでした!外にでたら言ってみたかったセリフがあったんです! 言っちゃおっかな~♪ 今言っちゃおっかな~♪ よーし言っちゃおーー!! 『アニキ、お勤め御苦労様でした!』。キャー言っちゃった~!って、あれ?これ立場が逆……」 「あのぉおぉ!!!」 ザザッ、 孝は歩みを止め、背後にピッタリ付いて来ていた白髪(ハクハツ)の少女の方を見た。
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