209人が本棚に入れています
本棚に追加
「はい?」
少女はキョトンとした顔で首をかしげた。
「あ…………、はい、えーと……シロさんでしたっけ?」
「はい、シロです!」
「…………………………………………………………………………………いつまで付いて来る気なんスか?」
「…え!?」
「え!?」
「………………。」
「………………。」
「…アハァハ!いやー私達よく逃げ切れましたね~!」
「テメェいい加減にしろよぉおーーーー!!!?」
キレた。流石にキレた。
「一向に話が進まねえよ!
いったい何周同じ会話ループすりゃ気が済むんだ!あ゛ぁ!?」
天海 孝、人生初、女相手に全力で怒鳴る。
いや、これはしょうがねぇよ。
天才だよこいつ。人の神経逆撫でする天才だよ!!
こっちの質問ガン無視で、
下らねぇ事をベラベラベラベラ…
冗談で脱走って何だよ。
こっちは真剣だったんですー。
荒立てないよう、見つからないよう、精密且つ繊細な計画をコツコツ立ててたんですー。
それをこのシラガ女は、冗談だの
ノリだので俺の今までの努力をブチ壊したってのか!?
とんだ脱走劇だったよ!
師範代って呼ばねぇのかよ!!
シャバって効果音じゃねえし!!!
自由の女神の話は……!
…………まあ……、ちょっと面白いかも知れない……。
「フゥー……、フゥー……。」
……と、言いたいことは山ほどあったが、上手く言葉がまとまらず、頭の中で喚き散らしては、記憶の彼方で霧散した。
「あのー、内側に溜め込まず、言いたいことがあればどうぞ遠慮なく。」
「いい。意外とスッキリした。」
「アハァハ!それは何よりで。」
自らを『シロ』と名乗る少女は、
反省の色など一切感じられない陽気な声でそう言った。
「………んで?」
「で?、とは?」
「さっきの質問だよ。どうして俺に付いて来る?
“お前は何だ?"
“どうしてあんなところ彷徨いていた?"
“その『白い』手錠は何故壊せない?"
答えて貰ってない質問は山ほどあるが、せめてさっきの質問ぐらいは答えろよ。お前が俺に付いて来てたのは、俺の脱走に便乗したかったからなんだろう?
なら、もう一緒に行動する必要はないんじゃないのか?」
最初のコメントを投稿しよう!