第2章 今日は10位なんだ…

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「はい?」 少女はキョトンとした顔で首をかしげた。 「あ…………、はい、えーと……シロさんでしたっけ?」 「はい、シロです!」 「…………………………………………………………………………………いつまで付いて来る気なんスか?」 「…え!?」 「え!?」 「………………。」 「………………。」 「…アハァハ!いやー私達よく逃げ切れましたね~!」 「テメェいい加減にしろよぉおーーーー!!!?」 キレた。流石にキレた。 「一向に話が進まねえよ! いったい何周同じ会話ループすりゃ気が済むんだ!あ゛ぁ!?」 天海 孝、人生初、女相手に全力で怒鳴る。 いや、これはしょうがねぇよ。 天才だよこいつ。人の神経逆撫でする天才だよ!! こっちの質問ガン無視で、 下らねぇ事をベラベラベラベラ… 冗談で脱走って何だよ。 こっちは真剣だったんですー。 荒立てないよう、見つからないよう、精密且つ繊細な計画をコツコツ立ててたんですー。 それをこのシラガ女は、冗談だの ノリだので俺の今までの努力をブチ壊したってのか!? とんだ脱走劇だったよ! 師範代って呼ばねぇのかよ!! シャバって効果音じゃねえし!!! 自由の女神の話は……! …………まあ……、ちょっと面白いかも知れない……。 「フゥー……、フゥー……。」 ……と、言いたいことは山ほどあったが、上手く言葉がまとまらず、頭の中で喚き散らしては、記憶の彼方で霧散した。 「あのー、内側に溜め込まず、言いたいことがあればどうぞ遠慮なく。」 「いい。意外とスッキリした。」 「アハァハ!それは何よりで。」 自らを『シロ』と名乗る少女は、 反省の色など一切感じられない陽気な声でそう言った。 「………んで?」 「で?、とは?」 「さっきの質問だよ。どうして俺に付いて来る? “お前は何だ?" “どうしてあんなところ彷徨いていた?" “その『白い』手錠は何故壊せない?" 答えて貰ってない質問は山ほどあるが、せめてさっきの質問ぐらいは答えろよ。お前が俺に付いて来てたのは、俺の脱走に便乗したかったからなんだろう? なら、もう一緒に行動する必要はないんじゃないのか?」
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