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第一、こいつは立っているだけで非常に目立つ。
小柄な体格ではあるが、腰まで伸びた白い髪。
ちょこまかと落ち着かない動作。
腕には、どの系統の色でもない、『白い』手錠のようなもの(多分手錠なのだろうが)。
あと、何よりうるさい。
こんなナリしたヤツと一緒にいたら、いつ見つかっても文句は言えない。
早々に別れるに越したことはないだろう。
「いやですねぇ、ちゃんと答えたじゃないですかぁ♪
“シロです"
“道に迷ってました"
“わかりません"
ほらぁ、全部答えた。」
「いや、だからそれ、全然答えになってないから。」
はぁ、…と思わずため息を吐いてしまった。
いかんいかん、ここでペースを握られたら、また話がループするぞ……。
早いとこ、こいつとオサラバしないと…!!
「言いたくないならもう聞かないから、ほら、何処へなりともさっさと消えてくれ。
これ以上お前に付き合う義理は無いんだよ!」
そう言って、手で払うような動作をしてみるが、
「いや~、そんなこと言われてもですねぇ~孝さん…」
少女は、離れようとせず、
何か言いづらそうな様子で、視線を反らす。
「……なんだよ?」
「…この山って、どの方角に進めば降りれるんですか?」
「……え!?」
「え!?」
「…………………………。」
「…………………………。」
「……いやー俺達よく逃げ切れたよな~!」
「ちょっと孝さん!? え?嘘ですよね!? 別に私、ネタを振った訳じゃないですよ!?
そういうのいいんで、ちゃんと答えて下さいよ!」
「………………………………………………………………さぁ?」
とりあえず、アメリカンに肩をすくめ、おどけてみせた。
「はえぇえぇぇえ!?ちょっ、どうするんですか!?
確か山って、ちゃんと道がわかってなきゃ素人じゃ降りることすら難しいはずじゃなかったんじゃ……!!? 勘弁してくださいよ!! ゙精密且つ繊細な計画゙はどうしたんですか!?」
「しょうがねだろ! 病院はクソ高い塀で囲われてたし、外が山だなんて知らなかったし!
そこまで考えてなかったし!
いけると思ったんだよ!!
悪いか、バーカ!バァーカ!」
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