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広大な敷地を、まるで柵を作るように取り囲んでいる。
数は~…何百?んな訳あるか!んと、千~……まさか万とか言わねぇよな?
まず全校生徒の人数もわかんねぇや。
───後で巡か久芳に諸々まとめて聞いてみ…………
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ!!!!!
「「~~!?」」
突然だった。さっきまで気になる程度の雑音でしかなかった彼らの声が、まるでイヤホンの音量をいきなりMAXにされたかのような、痛みを覚える災害となった。
『……あ、もう喋っても大丈夫ですか~?伴示(バンジ)さん~お手間かけさせます~?』
『……ウス。』
『部長は“問題ない”と言っています。』
その騒音の嵐の中、グラウンド中に会長の声が明確に響き渡る。
『孝さ~ん、タッく~ん?聞こえてますか~?今~放送部の~音無 伴示(オトナシ バンジ)さんと久留 恵理(ヒサトメ エリ)さんに手伝って貰ってですね~?
グラウンド中の音が良く通るようにしてもらいました~?
それで~恵理さん~?重ねて申し訳ありませんが~、見に来て下さった皆さんにも良く見えるように~お空におっきなスクリーンを作っていただけますか~?』
『構いませんよ。』
会長以外に見知らぬ声が二つ。
野太い男の声と、どことなく事務的な女の声だ。
「オイ、ヒフミィーー!テメ、部屋で待ってろっつったろうが!?ガン無視こいて来てんじゃねえよ!
つかハァ?スクリーンだァ!?一体何のつもりだコラ!」
『そんなに大声ださなくても聞こえてますよ~?
だって~タッくんが進んで仕事してくれるのって~珍しいので~?他の人もこんなに来てますし~?
どうせなら皆さんにも見えるように~、と思いまして~?』
会長たちが話している間に、女性の方の異能力なのか、希望通り俺と副会長の姿が大きく空中に投影された。
「……何でもいいけどよぉ。オイ伴示、周りの奴らの声までこっちに響かせんな。うるさくて敵わねぇ。」
『……ウス。』
『部長は“分かったよ、注文の多い連中だな”と言っています。』
答えるや否や、周りの災害級とも言える騒音は徐々に静まっていった。
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