209人が本棚に入れています
本棚に追加
「身に着けている物…………その躰にまとっている、ネックレスとかチェーンとかでも有りですか?」
「有りだよ。触れれば文句なしの満点合格、最高評価をつけてやらぁ。」
「…………。」
絶句である。
仮にも実戦を模した試験であるのに、そんなルールで構わないなんて、果たしてそれを実戦と呼ぶのだろうか。
しかも、その比喩無しで全身を飾り立てている、ジャラついた装飾物でもいいという。
むしろ戦ってそれ等に一切触れない方が難易度が高いだろう。
そんなことすら出来ないと踏まれているということは…………その、詰まりは、アレだよアレ。
完っ全にナメられてるってことだ。
俺は今、自分がこれ以上に無いくらいに侮辱されている事を認識した。
「触れれば……」
「あん?」
「触れれば俺の勝ちでいいんですよね?」
「しつけーな。そうだっつってんだろが。何度も言わすなタコ。」
『は~い~、ル~ルの確認も取れましたし~?それでは~私がカウントして~“始め~”と言ったら試験を始めて下さいね~?
ではいきます~?“じゅ~”?』
会長が開始のカウントを唱え始めた。
『きゅ~?』
「オイ、転校生。」
グラウンド全体に、会長独特の締りの無いカウントが響く中、副会長は俺に新たなルールを与えてくれた。
『はち~?』
「このカウントが続いている間だったら、この場で土下座すれば許してやらんこともねぇぞ?」
…………へぇ。
『なな~?』
「まぁ、そんときゃあオマエの無様な姿を、あのクソでけぇスクリーンで全校生徒に晒す事になるけどなぁ?クハッ!」
なんだ、そんな事で許してくれたのか。
早く言ってくれれば良かったのに。
『……よん~?』
「さぁ、どうするよ?あと少しで時間切れだぜ?」
『さん~?』
どうするかだと?
決まっているだろう。
『に~?』
それがルールだというのなら……
『いち~?』
ルールに則った上で、全力で試験に臨むまでだ!
『ぜろ~?はじ……』
「すいませんでしたーーーー!!」
ズザザーー!
カウントが止まる。
「……………………はぁ?」
最初のコメントを投稿しよう!