第5章 世界はあまりに■■過ぎる

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副会長は開始直前にとった俺の行動に、気の抜けた声を上げていた。 まるで理解が出来ないとでも言いたいかのように。 非道いな、自分から提示したルールなのに。 やはりこの人は、少し理不尽だ。 俺は今ルールに則り、副会長の前でグラウンドの土に頭を擦りつけながら土下座をしている。 勿論その姿は、放送部の彼女が創り出した巨大なスクリーンにも、しっかりと投影されていた。 ギャラリーから発せられていた音は、その映像が流れた途端、好奇の騒音から不安の響めきに変わる。 この場にいた誰もが、俺の行動に奇異の目を向ける。 理解が出来ないと、誰もが唖然とした。 「おい……おいテメ待てコラ!!」 ざりざりと、副会長が跪く俺の前まで近づいて来る音がする。 「何やってんだテメェ!ハ、意味分かんね。そんなんで許すわけねぇだろ!?マジなってんじゃねぇよ!アホか! つか、冗談抜きでヤメろ。ここまで盛っといてシケさせてんじゃねえ! ……いいからやるぞ、立て!立って戦えゴラァ!!」 おいおい、ルール破るのかよ。 卑怯な人だな。 また理不尽に怒ってるし……。 まぁ、唯の煽りだったのは分かってはいたけれどさ。 ここは俺のとっておきの持ちネタで、場を和ませよう。 「副会長……実は俺、こう見えて武術を取得してるんですよ。」 「あ゛ぁ!!?」 「『鬼心流』って言うんですけど、聞いたことないですよね? ぼっろい教会に住み着いてた飲んだくれの自称神父から教わったマイナー武術なんですけど……。」 「うるせェよ!今テメェの身内ネタなんかに微塵の興味はねぇんだよ!!」 「まぁまぁ、聞いてくださいよ。でね、その『鬼心流』ってのがこれまた可笑しくて。 なんとその武術はですね…………」 「テメェいい加減に……」 シビレを切らした副会長は更に俺に近づき、前屈みになって俺の襟を掴んで立たせようと手を伸ばす。
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