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「テメェ……、カウントが終わる前に…………“試験が始まる前に”……俺に脚出しやがったよなァァァ?
それはオメェ、アレだよな?
試験とは関係なく、日常生活のある時突然、不意に、純粋に、ムシャクシャして、つい、うっかり、“俺に喧嘩を吹っかけた”って……、そういう解釈でいいんだよなァァ?」
ただ怒る。
怒り、嗤う。
喜々と、嬉々と、鬼々と。
不純物のない純然たる怒りは、人を笑顔へと誘(イザナ)う。
「クハッ……キハハハ!
確かにィ!確かに買ったぞ、その喧嘩ァ!!
断罪であれば、一撃で楽にしてやったが、そんな慈悲などとうに忘れたァア!
試験であれば、少しぐれぇなら手心加えてやろうと思ってはいたが、最早それすら関係ェねェ!
全力且つ、なるべく長引くように……、ゆっくりじっくりテメェ嬲り殺してやらァァ!!」
「ッッッ!」
その怒号と共に、文字通り“大地が揺らぐ”。
拓斗は腕を広げ、自身の持つ異能で、最も“嬲る”に最適の型を取る。
「仏身・部分転生(ブッシン・ブブンテンセイ)」
揺らぐ大地が拓人を間に置いて二つの山を造りだし、やがて奇妙な形をした一組の塔へと形を変えた。
「菩薩之双腕(ボサツノソウワン)」
塔などではなかった。
腕だ。
巨人の、腕だ。
二本の巨大な腕が拳を握り、グラウンドの地表から自身の巨大さと長さを誇示するように聳え生えている。
「待てよ待てよ待てよ待てよ…………。」
空を仰ぐ孝の額から、冷や汗で滝ができる。
行動しようにも、何をすべきか方針が定まらない。
撤退しようにも、何処に逃げるというのだろうか。
孝はここでやっと知る。
“侮っていたのは、果たしてどちらかの方なのかを”。
「傷はもう充分癒えたろう?だからもう、待た、ない♪」
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