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「アハァハ!
何言ってんですか孝さん!目の前の現実が全てですよ!
きっと私達、今日最高についてるんですよぉ♪
それに、無事に抜けれたなら、それが一番に決まってるでしょう?」
「ん…む……」
そう言われたら、確かに何も返せない。
ここは素直に、自分たちの幸運に喜ぶべきなのだろうか?
「まぁ、そこらへんは後で考えるとして、どのみち休めるところまで歩かなきゃな。
はぁ…、これで偶然通りかかった車とかに乗せてもらえれば最高なんだけどなぁ……。
はは、流石にこんな真夜中に車なんてそう簡単に……」
「あっ孝さん、車がこっちに走って来ます」
「ホントかよ!!?」
ヤベ、本当に運が良くないか俺?
運命の女神様は、いつの間に俺にここまで惚れちまってたんだ!?
まったく、
人生なんてベリーイージーモードだぜ!
「止まってくれーーーー!」
道路の真ん中に立つ。
大の字に手足を広げ、走ってくる車の道を妨げる。
キキィーーーー!!!
バタン!
急ブレーキと共に、運転手が車の中からおりてきた。
「あ゛ぁ~…、やっぱついてねぇな…。
事故りそうになったのは今日だけで8度目だ……。
やっぱ家で大人しくしてりゃあよかった」
女性だった。
声や外見から察して、20代後半といったところだろうか。
運転手の女性は、後頭部をガリガリ掻きながら、猫背気味の姿勢でこちらにノロノロ近づいてくる。
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