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「う、腕に抱きつくな!引っ張るな!あと少し黙ってろ。
お前、声高いしデカ過ぎ!耳に響いて後に残るんだよ!」
シロと二人でそんな言い合いをしていたら、目の前の女が口を開いた。
「あ゛ぁ~…、いや、お前ら、乗せる乗せないの前に一つ聞いてもいいか?」
「え?あ、はい。何ですか?」
「…何で患者服なんて着てるんだ?」
女は俺達の格好を見て、至極当然の疑問をぶつけてきた。
あ~あ。 またやっちゃったよ、俺ってやつは。
「っ…!!い、いや~これは…」
「それに、そこの彼女の腕についているのは………手錠か?
見たこともない色だが」
「はぇ?」
ヤバイ…、状況を把握出来てないヤツが約一名いるが、これは非常にヤバイ…!
「あ゛ぁ~…、お前らひょっとしてだが~…………あの病院から脱走してきたのか?」
「っ!!!(くそ、なるべくこういうのは避けたかったが…!)」
孝はその質問を聞くと同時に、姿勢を低くし、一気に距離を詰める。
そして…
ズリュリュ。
「……へぇ~…………」
孝ば手首からナイフの刃を生やじ、低い姿勢のまま、女の喉元まで゙ソレ゙を突き上げた。
「車に乗せてくれ。言うことを聞けば、危害はくわえない…」
「おぉ~~!! 孝さん孝さん♪
やっぱそれ、何度見てもカッコイイですねぇ♪」
シロは空気を読もうともせず、
孝の一連の動作を見て、パチパチと手を叩き、感動している。
脅迫のような形になってしまったが、しかしこれで相手は俺達の言うことを聞くはず。
とりあえず乗せてはくれるだろう
そう思っていたが、
「あ゛ぁ~…、面白い能力だな」
その女は、喉元の刃に恐れることなく、まるで無防備な状態のまま身動き一つしない。
気だるげな態度を変えず、面倒臭そうに、さらに口を動かす。
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