第2章 今日は10位なんだ…

9/46
前へ
/391ページ
次へ
「ナイフを体から出せるのか? あ゛ぁ~…、そんな限定的なモノにも見えねぇな~。 あー…、金属物質の体内生成能力か? どちらにせよ痛そうだ。 刃の生成箇所から血が出ているぞ? まぁNEVLO患者なら血はすぐ止まるか~…ふぁ、あ~…」 喋り疲れたのか、仕舞いには欠伸までしはじめた。 「………車に乗せてくれ。 行きたいところがあるんだ」 孝は、この女への警戒心を高めた 何故こうまでして余裕なのだろうか? 何か秘策でも…… 孝の考えを読んでか、女はまた重たい口を開いた。 「ハァ~…、そう期待されても困るんだがな。…言っとくが私は余裕な訳ではねぇぞ? ただ足掻いても無駄なのを知ってるだけだ…。 今日の私は、どうしたってついてねぇからな…」 「……いいから車に乗せろ。 殺すぞ…!」 「ま、それも悪くはねぇかもな」 …なんだこれは? 俺はこの女がわからない。 足掻いても無駄? 当然だ。 この状況でなら、俺はどんな動きにも対応できる自信がある。 その事を解らせるために、一般人でも本能で感じとれる程度に殺気を当てて、警告もしている。 そのうえで抗おうとするなら、愚か者と切り捨てられても文句は言えないだろう。 だが、コイツのはそれとも違う。 何故抗わない? 何故怯えない? 何故逃げない? 俺の思考が疑問符で埋まる。 「いいから乗せろって言ってるだろ…!!」 女と自分との間にある温度差に無性に腹が立ち、声が無意識に荒くなっていた。 「あれ?ねぇ、孝さん。 もしかして乗せてもらえないんでしょうか? 私達」 「お前は少し黙ってろ!!」 しまった。 言った瞬間、我に帰る。 この場においては、シロはなにも怒鳴られるようなことはしていない。 これは完全な俺の八つ当たりだ。 自分の矮小さに嫌気が差す。 だが、そのおかげである程度の冷静さを取り戻せた
/391ページ

最初のコメントを投稿しよう!

209人が本棚に入れています
本棚に追加