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「俺は望んでこんな病気にかかったワケじゃない」
「………」
「俺はアンタのいう平凡で退屈な普通ってやつがいいんだよ。
特別なんていらない。
望んだ事がなんでも手にはいるというのなら、俺は元の日常を取り戻すことを望むさ。」
そして、俺のかつての友人達。
雄二(ユウジ)、巡(メグル)、清継(キヨツグ)、千才(チトセ)…
そして………雫(シズク)。
出来うることなら、またあの5人と笑い合っていれた日常に……。
「………あ゛ぁ~…そこの彼女も神嶋市に?」
「ん~。そこって友達たくさん作れますかね?」
「それはお前自身の問題だろう。
ま、お前らみたいな病気持ちだったら他のトコよか幾分か作りやすいかもな…」
「アハァハ! なら私もそちらに行きたいですね~」
「……んん……あ゛ぁ~…、まあいいだろうな」
「なぁ、あんたさっきから何を…」
「車に乗せてやるからそんな物騒なモノをさっさとしまえってことだ。
ったく、厄介なモン拾っちまったよ。
流石に今日はついてねぇな」
「………………」
孝はゆっくりと体制を戻していき、手首から生えている刃をつまみ、
ズブッ、ズボォ。
一気に引き抜き、山の木々の方に投げた。
「あ゛ぁ~…、収納し直したりはできないんだな。
それにしてもやっぱり痛そうだな。血はそんなに出てないようだが」
「………なんで急に乗せようと思ったんだ?」
「あ゛ぁ~? そもそも乗せないだなんて、一言も言った覚えはねぇな~。
お前が一人ではしゃいでいただけだろ」
女は小馬鹿にするような口調で、ほとんど無表情を保ったまま笑った。
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