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「アハァハ! なんだ、孝さんの早とちりだったんじゃないですか?
孝さんってもしかして思い込み激しいんじゃないんですか?
世界は孝さんを中心に回ってませんよ~?
キャー、ハーズカスィーぃいだだだだだた!!
ごめんなさいごめんなさい!!
調子に乗ってました!
車より先に調子に乗ってました! 反省しますから、手…手ぇ離して!足地面についてないし!
頭が…潰れる潰れる!!
ギブギブギブギブ……!!」
「うるせー、反省してるヤツは、シレッと上手いこと(?)をドヤ顔で言ったりしねんだよ!!
そうだよ、言われるよ。
思い込みが激しいってよ。
よく言われるけどなー…お前に言われると無性に腹立つんだよ!」
天海家秘伝、制裁用強制更正奥義
『怒りの断罪(アイアンクロー)』
姉さんしか実際に使うことはなかったこの奥義(主に孝への躾(シツケ)目的)。
まさかこの俺自身が使用する日が来ようとは……
見ていますか?
きっと地獄に落ちたであろう父さん、母さん。
孝はこんなに立派に育ちました。
誉めてください。
「うぉーい、乗るならさっさと乗ってくれ。
私はいい加減に帰りたいんだよ」
気だるさMAXでそんな催促がかかる。
ん、確かに真夜中とはいえ、道路の真ん中で揉めていれば、流石に目立つな。
もう少し、この感慨にふけっていたいものだったが。
致し方ない。
この気持ちは後で日記にでも綴るとしよう。
今優先すべきは一刻も早く、神嶋市市内に身を溶け込ますこと。
どう溶け込ますかはまた後で考えよう(やはり計画性にも難あり)。
さっさと行動に移すが吉とみた。
「少し待ってくれ。今乗らせてもらう」
シロに奥義をかけていた手を離し、車に駆け寄る。
無造作に手を離したものだから、
シロはその場に落ちて、尻餅をついた。
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