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「目眩がする…」
陽皐病院、院長室。
プレジデントチェアーに腰掛けた白衣の女性が、額をおさえながら報告書を眺める。
「申し訳ありません、院長。
まさかこのような事になるとは思ってもおらず…。」
「反省や言い訳の報告までは聞いていない。今は現状と今後の対策についてだ。」
「はい。では現状の確認から。まずは……」
しかし、この陽皐病院で一位二位を争う変人────
院長、天海 芹香(アマガイ セリカ)と副院長、リアス・ヘルラティア。
この二人がここまで切迫してるのも、なかなか珍しい光景である。
なぜ変人なのかというなら、まずは院長、天海 芹香から。
この院長、先からの高圧的な態度と裏腹に、容姿があまりに幼い。
まだ10代前後くらいだと言われたなら、素直に信じてしまいそうだ。
しかし、その見た目からは想像もつかない程の天才的頭脳を所持しており、医者でないに関わらず、数々の難病・奇病を解明してきた実績を持っている。
NEVLOをいち早く病気と断定し、NEVLO専門研究病院を設立した張本人でもある。
次に副院長、リアス・ヘルラティアについて。
こちらは容姿は全く問題ない。
それどころか、北欧特有の整った顔立ちより、誰もが認めるであろう程の美女だ。
常に冷静な対応をし、どんな仕事も卒なくこなす完璧主義者。
だがしかし、これだけのステータスを兼ね備えていても、腰に下げている日本刀のせいで全て台無しである。
白衣で鞘全体は隠れてはいるが、あまりに目立つ。
これで元科学者だと言うのだから、もう訳が解らない。
新人の研究医が、初めてこの二人と対面したときは、
まず、リアスの容姿に心を奪われ、腰の下がり物を見た途端、表情を歪ませる。
その後、芹香に対して、子をあやすような態度を取り、軍人ばりのシゴキをくらう羽目に合う。
最早、通過儀礼だ。
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