第0章 患者NO.3350

5/6
前へ
/391ページ
次へ
「NEVLO患者の持つ異能を、強化系・転換系・念動力系・特殊系と大雑把に分類し、 強化系 は赤色の手錠。 転換系 は緑色の手錠。 念動力系は青色の手錠。 特殊系 は黄色の手錠。 それぞれの特徴や特性に合わせて効果を発揮するように作り、患者を診察により分類を見抜き、手錠をかける…。」 あまりに拙い方法ではあるが、この体制が確立してから患者の反乱は激減した。 今回の事件は特例といっていい。 「今はこの体制を変える術がない。『現状以上に研究の進行を急げ』、くらいのことならいくらでも言ってやるがな。」 「では、これに関しては現状維持ということで。NO.3350の担当医はこちらで処分しておきます 。」 「一番の問題が…『要因3』だ」 「やはり、地下室の“彼女"でしょうか…?」 「ああ、間違いない。収容部屋はもぬけの殻だった。」 「どうします?『デュナミス』に協力の申請を……」 「ダメだ!」 芹香はリアスの提案を即座に却下した。 「“彼女"の存在が、公になるのは避けなければならない。 あの手錠は特別製。二度と作れる事は無いくらいの完成度だ。破壊など絶対に不可能な代物であるが……、 それでも、もし存在が知られてしまったなら、日本が…いや、世界が混乱しかねない。」 「では………」 「ああ。リアス、『ゲオルギウス』の出動を命じる! 人員、人数はお前任せる!とにかく迅速に“彼女"の確保を!!」 「………」 だが、リアスは即座に返事が出来なかった。 ある点に疑問を抱いていたからである。 「…返事はどうした?」 意を決し、しどろもどろに問いてみた。 「もし、もし仮に…、NO.3350……、天海 孝が“彼女"と行動を共にしていたら、その時は……」 「殺せ」 一切の濁りなく、天海 芹香は端的にそう告げた。
/391ページ

最初のコメントを投稿しよう!

209人が本棚に入れています
本棚に追加