第0章 患者NO.3350

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「…実の弟なのでは?」 「どの道“彼女"が存在する限り、人類に未来など存在しない…。 まさか、リアスよ。『実弟と全人類、救うならどっちだ?』などと…、 そんな“お約束(テンプレ)"に酔いたい訳ではあるまい?」 「……わかりました。では此より人員の選別に向かいます。」 リアスはそれ以上何も聞かず、院長室のドアまで下がり、 「失礼しました」 一礼し、退室した。 ……………………。 ………………。 …………。 「……ふぅ」 部下が部屋から出ていったことを確認した後、私は肺に溜め込んでいた息を吐き出し、椅子に深くもたれ掛かった。 「………」 おもむろに机の引き出しを引き、一枚の写真を取り出す。 母と(今より背が高い)私、そして私にしがみつくように抱きついている少年が写った写真。 唯一一枚の家族写真。 「孝、…………どうして………」 誰にも聞かれぬように、 ささやかに、そして深く、 私は、私の人生を呪った。
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