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「…実の弟なのでは?」
「どの道“彼女"が存在する限り、人類に未来など存在しない…。
まさか、リアスよ。『実弟と全人類、救うならどっちだ?』などと…、
そんな“お約束(テンプレ)"に酔いたい訳ではあるまい?」
「……わかりました。では此より人員の選別に向かいます。」
リアスはそれ以上何も聞かず、院長室のドアまで下がり、
「失礼しました」
一礼し、退室した。
……………………。
………………。
…………。
「……ふぅ」
部下が部屋から出ていったことを確認した後、私は肺に溜め込んでいた息を吐き出し、椅子に深くもたれ掛かった。
「………」
おもむろに机の引き出しを引き、一枚の写真を取り出す。
母と(今より背が高い)私、そして私にしがみつくように抱きついている少年が写った写真。
唯一一枚の家族写真。
「孝、…………どうして………」
誰にも聞かれぬように、
ささやかに、そして深く、
私は、私の人生を呪った。
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