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そして俺は凛と新郎の前に立つ。
うん、聡(さとし)の顔は何回も見たが、俺より劣るがなかなかいい男だ……
「てめぇ、凛泣かしたら許さねぇからなっ」
俺の目の前で凛が涙を流しながらも満面の笑顔で母親と話している。
「真夕(まゆ)、お疲れさん。お前も年取ったなぁ……でも、今でもいい女だぞ。お前もいい男みつけろよ」
俺はそう言って左手で凛の頭を、右手で真夕の頭を優しくポンポンと撫でる。
が、俺には二人を触る事は出来ねぇし、それより二人にはもちろん、みんなにも俺は見えてねぇ。
だって俺、二十年前にバイク事故で死んでるもん。
スカッ、だってよぉ……アハハハハッ……相変わらず面白れぇなぁ、おいっ!……
「凛、もう俺が居なくても大丈夫だな……これからは聡がお前とお母さんを守ってくれるだろうからな」
すると教会の鐘が凛を祝福する様に、カラーンカラーンと鳴り響く。
よしっ、そろそろ俺も成仏するわっ……
「凛っ、幸せになれっ!」
おぉぉ、透けていってるぅぅ……
「じゃぁなっ……」
「あっ……シビ子ちゃんの事、よろしくなっ!」
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