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「ふぅ…楽勝楽勝」
グレンは2・3度、屋根を乗り移ってから、ようやくその動きを止める。
人様の家の屋根ということも気にせずにグレンは、そこにドッカリと腰を地におろす。
砂漠地帯であるからだろう。
風で舞い上げられた砂は屋根にまで、その被害を与えていた。
座る際に手を地面につけたグレンは、その事に自分の手を見て改めて気づかせる。
「ったく…なにかと不便なんだよなぁ、砂漠地帯ってのも」
と、呟き程度の声量でボヤいてから、グレンは今さっき盗み得てきた、いくつかの果実を、あぐらをかいた足の隙間に挟み込むように置く。
さぁ、食べようかと思ったグレンだったが、前述通り屋根といえど砂がうっすらと積もっている。
グレンは適当に手をはらって手のひらについている砂を元あった場所へと戻す。
「そんじゃまぁ…いただきまーす」
誰に見られているわけでもないのに手を合わせて小さく合掌した後に、グレンは足をテーブル代わりにして、少し遅めの食事を始める。
ガシュガシュと固い植物細胞が同じく固い歯で潰され、そして跡形もないほど小さくなってからゴクリという豪快な音と共に喉を通る。
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