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暫く咀嚼と飲み込みを繰り返し行っていたグレンは、やがて1つの果物を食べ終える。
そして、ふと遠くを見つめる。
その視線の先には広大な砂漠の中にポツリと場違いな雰囲気を醸し出す黄金の何かが。
「…」
グレンは食べた果物の芯を適当に放り投げ、しかし、そのままそこを見続けている。
それは黄金の門。
その他の建物はなく、本当に黄金の門1つだけがそこにズズンとたたずんでいる。
アルリスタ国の民で、あそこに行く者は先ずいない。
なぜなら、そこは試練の場であり…死という自身の存在の終わりに最も近付く場だからだ。
「(魔具か…)」
グレンは目を細めながら、1つのワードを頭に思い浮かべた。
魔具。
今から20年前、この世に何の前触れもなく、それは試練という条件をもって、この世界に現れた。
7人の王は、皆が皆その力を手にいれ、それぞれ7つの大国を統べるほどにまでなった。
しかし、なにも魔具を持つ者は、その7人の王だけではない。
試練さえ乗り越えられれば、誰にでもその力は手にはいるのだから。
現にそれを手にして王国を乗っ取ろうと反逆をおこした人々も少なくはない。
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