春樹

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俺(春樹)と、夏帆、千秋、冬真はいつも一緒にいる、俗に言う「仲良し4人組」ってやつだ。 俺と夏帆は幼稚園からの幼馴染み、千秋と冬真は、中学に入ってから出来た俺と夏帆それぞれの親友である。それぞれの親友といっても、今は4人が全員とも大大大親友だ。 いつもハイテンションで、実はしっかり者の夏帆。頑張り屋で、女の子らしい一面が意外と多い千秋。頭が良くて、気が利いてなんでもこなす器用なやつ、冬真。俺?俺は他のやつに聞いてみなきゃ分かんねえよ。 こんなに気が合っていいのかっていうくらい仲が良くて、クラスが3年間同じになるというとんでもない強運を持ち合せていて(中学生の俺たちには重大なこと)、多分これ以上の友達はきっとこれからもできないと思う。 本当に毎日が楽しくて、居心地がいい。 そんな俺たちは、早いもので中学3年になり、中学生活最後の1年を迎えていた。 「水曜までに、進路調査票を提出してな」 朝のホームルームで、クラス全員に進路調査票なるものが配られた。行きたい高校と、将来就きたい職業それぞれ第1志望から、第3志望まで。興味深そうにその紙を見つめる者や、素早くしまい込んで後ろの生徒と喋る者など、反応はいろいろだ。俺だってそう。将来の自分なんて想像できないし、漠然とした希望もなかった。 担任の言うことも、1つ1つが将来に向けた言葉に変わるいま。 一体何人の生徒がそれに戸惑い、悩んで、変化についていけずにいるのだろう。 間違いなく、俺もその一人だった。
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