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「まーくんがカメラマンになりたいっていうのは、結構前から知ってたけど」
と、夏帆が言った。夏帆はなぜか冬真を“まーくん”と呼ぶ。
にしても、
「え、知ってたのか!?」
俺がそう言うと“あたしだって知ってるけど?”と、千秋まで俺を見て笑った。
「え、知らないの俺だけ?」
冬真を見ると、自販機で買ってきてもらったお茶を飲みながら吹き出しそうになるのをこらえていた。
「ふ・・くくっ・・そんなすがるような目で見んなよ・・・!」
「冬真ぁ!なんで俺には話してくんねえの!?」
アンタはまーくんの彼女か!、と夏帆にツッこまれる。
困ったように笑いながら、
「改まってお前にそういうこというのはやっぱ恥ずかしいだろ?ほら、そういう話題なんて出てきたことなかったし」
と冬真は言った。
「じゃあなに、3人の中ではそういう話題が出てくることあったってことかよ」
「なんで拗ねてんのよ」
夏帆と千秋が俺を見て苦笑する。
「前に4人でバーベキューしたじゃん。あのとき冬真がずっと写真撮ってたから、“将来カメラマンになったら?”って聞いたの。そしたら、冬真が“そのつもり”って。まあ、春樹は寝てたけど。」
「えー千秋なんでその話俺にしてくんねえの!?」
「アンタふざけてばっかでそういう話題で喋ったことないでしょーが」
たしなめるように、千秋がそう言った。
なんだよなんだよ、俺以外はみんな知ってるのか。っていうか、俺だけいつもおちゃらけてるお子様みたいに言いやがって。
「そういうこと言ってるけどなあ、お前らなにか決まってんのか!?」
夏帆と千秋が一瞬きょとんとして、顔を見合わせてクスッと笑った。
「うん、決まってるよ?」
またもやあっさりとそう返された。
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