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「で、何の用だよ」
眠い目をこすりながら、答える。
「はは、なんだよ冷たいなあ。」
気にせず、日向は笑って答えた。木漏れ日が日向を照らし、ますます髪色が茶色く見えるので、本当にハーフみたいだ。
「ちょっと大好きなハルちゃんとお話したいなーと思って!!!」
「なんだよそれ、何から何まで全部気持ち悪いわ」
日向が、両手を頬に当てて答える。
「もうー最近のハルちゃんったら冷たいんだからっ!」
「ここにオネエがいるんですけど、対処法誰か分かる人いますかー?」
クラスに呼び掛けると、みんな日向を見て笑う。そんなみんなにも、“見てるんじゃないわよっ”と、オネエキャラを突き通す日向は本当にすごいと思う。
まあ、真似したくはないけどね。
そんなこんなで、日向とたわいもない話をしていると、先生に呼び出されて職員室に行っていた冬真と夏帆が戻ってきた。
「お、日向。また春樹にくっついてんのか」
ニヤニヤしながら冬真が俺と日向を見比べた。
「まあね!俺はハルのこと大好きだからね!!!」
恥ずかしげもなく、日向はウインクして冬真に答えた。こういうのに慣れてるんだよな、日向は。“王子様”と呼ばれるのも納得だ。
よかったな、と冬真は苦笑する。
「で、なんでお前ら呼び出されたんだ?悪いことでもしたのかー?笑」
日向を見て笑っている冬真と夏帆の2人に尋ねると、んなわけないだろ、と2人は顔を見合わせて笑った。
「いつもみたいに雑用だよ雑用。ほんと困る・・・」
夏帆はそう言うと、本当に嫌そうに顔をしかめた。
みんなからの強い推薦で、委員長を務めている冬真と、副委員長を務めている夏帆は、何かと呼びだされて頼まれごとを受けることが多い。
「大変だなあ、お前らも」
「もう、春樹ぃー!他人事みたいな顔して!」
「だって他人事だし」
「うっわ、最低」
ぎゃーぎゃーやっていると、
「そういえば、千秋ちゃんは?」
と、日向がきょろきょろと辺りを見渡した。
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