春樹

8/8
前へ
/8ページ
次へ
「で、何の用だよ」 眠い目をこすりながら、答える。 「はは、なんだよ冷たいなあ。」 気にせず、日向は笑って答えた。木漏れ日が日向を照らし、ますます髪色が茶色く見えるので、本当にハーフみたいだ。 「ちょっと大好きなハルちゃんとお話したいなーと思って!!!」 「なんだよそれ、何から何まで全部気持ち悪いわ」 日向が、両手を頬に当てて答える。 「もうー最近のハルちゃんったら冷たいんだからっ!」 「ここにオネエがいるんですけど、対処法誰か分かる人いますかー?」 クラスに呼び掛けると、みんな日向を見て笑う。そんなみんなにも、“見てるんじゃないわよっ”と、オネエキャラを突き通す日向は本当にすごいと思う。 まあ、真似したくはないけどね。 そんなこんなで、日向とたわいもない話をしていると、先生に呼び出されて職員室に行っていた冬真と夏帆が戻ってきた。 「お、日向。また春樹にくっついてんのか」 ニヤニヤしながら冬真が俺と日向を見比べた。 「まあね!俺はハルのこと大好きだからね!!!」 恥ずかしげもなく、日向はウインクして冬真に答えた。こういうのに慣れてるんだよな、日向は。“王子様”と呼ばれるのも納得だ。 よかったな、と冬真は苦笑する。 「で、なんでお前ら呼び出されたんだ?悪いことでもしたのかー?笑」 日向を見て笑っている冬真と夏帆の2人に尋ねると、んなわけないだろ、と2人は顔を見合わせて笑った。 「いつもみたいに雑用だよ雑用。ほんと困る・・・」 夏帆はそう言うと、本当に嫌そうに顔をしかめた。 みんなからの強い推薦で、委員長を務めている冬真と、副委員長を務めている夏帆は、何かと呼びだされて頼まれごとを受けることが多い。 「大変だなあ、お前らも」 「もう、春樹ぃー!他人事みたいな顔して!」 「だって他人事だし」 「うっわ、最低」 ぎゃーぎゃーやっていると、 「そういえば、千秋ちゃんは?」 と、日向がきょろきょろと辺りを見渡した。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加