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俺には二つ年上のお姉ちゃんがいる。
誰からもチョコを貰えなくて一人くよくよしている俺の横を、鼻で笑って通り過ぎる冷たいお姉ちゃんだ。
「笑うことないだろ!? お姉ちゃんには俺の気持ちは分らないよ」
「気持ち悪いなー。特に格好良いわけでもないあんたが、本気で貰えると思ってたの……?」
思っていた。
クラスの女子とは普通に話す方だし、せめて一つくらいは……と期待してた。
二人で一つの狭い子供部屋に、お姉ちゃんは背負っていた通学用のバッグを下ろした。
お姉ちゃんは中から教材を取り出す手を一旦休めて、なんとはなしに様子を眺めていた俺を睨む。
「んで、なに見てんの? 私勉強するから、部屋に居るなら邪魔しないでよね」
お姉ちゃんの機嫌が悪い。最近はイライラしていることが多い。
勉強勉強で、全く遊んでくれないし。反抗期、というやつらしい……。
「そんなにチョコって貰いたいものなの?」
しばらくして、ずっと勉強机に向かっていたお姉ちゃんが大きな伸びをした。
「実際は義理がほとんどだし、ホワイトデーのお返しとか逆に面倒臭くない?」
「面倒臭いけど……貰えるに越したことはないんだよ、貰えたら何だって嬉しいだろ?」
「……別に私は嬉しくないけど」
あげる側のお姉ちゃんには分からないことだ。
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