恋愛物語

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ザーーッ ((うげっ、今日も雨かよ… 最近雨ばっかりだな)) ここの所、どっぷりと雲が空を覆っていて、 気持ちのいい日差しを拝めていない 天候と同様、気分までもがどんよりしてくる ((はぁ… まともな友達すら作れてないのに、学校なんて行っても意味ないよな…)) そんな言い訳を自分に言い聞かせ、俺は散歩に行くことにした ここ数日、学校にも行かなかったから少しは身体でも動かそうかと思って… ――――― ((誰もいねぇな…)) 全くと言っていいほど人がいない この天気じゃ外を歩くのも嫌になるよな… 学校をサボった身の俺としては都合がいいのだが… ((…あれ?)) 気持ちの赴くままに歩いていると、交差点で信号待ちをしている少女がいた 右手には傘を、左手には……目に障害者がある人が使っている棒を持っていた ((こんな雨の中、一人で何処行くんだろ?)) 俺が抱いたのはただの好奇心 でも話しかけるほどの事ではなかった ――彼女が転ばなければ 「きゃっ!!」 信号を渡る途中、足を滑らせて、前に倒れ込んでしまった 棒は彼女が倒れた拍子に元の歩道側へと転がっていく 彼女は四つん這いになりながらも手探りで必死に探している ((おいおい、信号点滅してるぞ)) ――ちっ 俺は傘を投げて走り出していた 一心不乱に速く、速く走った 「信号変わるから立てっ!!」 俺は彼女の手を取って、棒のある歩道へと走る 雨はシトシト降っている 俺は知らない間に笑顔だった ――――― 「大丈夫か?」 通り道にあったバス停で雨宿りして、俺は少女に声をかけた 「はぁっ…はぁっ…」 彼女は息があがっていて、まだ話せそうにない 俺は彼女の手に棒を握らせ、それから 「お前の目的地に連れてってやるよ」 と口に出していた それが、物語の始まりだった
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