11人が本棚に入れています
本棚に追加
「お待たせ・・・・・・っ!? ・・・・・・月っ・・・・・・!?」
扉の向こうにいたのは、二年間諦めよう、忘れようとしていた存在。
そして、さっきまで思い出し、会いたいと願った存在。
『桃夜 月』
何で・・・・・・
どうして・・・・・・
どうやって・・・・・・
色々な疑問が頭の中に流れる。
「・・・・・・恫冴っ・・・・・・」
俺の名前を呟き、月が俺の胸に飛び込んで来た。
驚いたな・・・・・・、まさか月がこんな大胆なことをするなんて・・・・・・。
二年前の月は、消極的で目立つことをしなかった。
キスをしたときも、俺が半ば強引にした記憶がある。
「月っ・・・・・・いきなりどうしたの?」
できるだけ優しく月の体を抱き返し、耳元で囁く。
二年前と変わらぬ月の匂いが鼻を、心をくすぐる。
「バレンタインの・・・・・・、チョコを・・・・・・届けにきたの・・・・・・」
その言葉に、俺は我慢できなくなった。
きっと月も二年間、想っていたんだ。
そう思うと月を抱き締める力が自然と強くなる。
ああ・・・・・・この匂い、感触、声
全てがどうしようもなく、愛しい。
月、やっぱり俺は、君のことが大好きだ。
君を諦めるなんてできない。
忘れることなんてできない。
だから、俺は君に――――
最初のコメントを投稿しよう!