夜と雪

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――――3/14 「・・・・・・こんなもの、か?」 いや、もうちょっとか? ダメだ、わかんない・・・・・・。 イマイチ、これで良いのか自信が持てない。 何せ、お菓子作りなんて初めての経験だ。 炒飯やカレーのような簡単に、しかも大雑把にやっても、そこそこ美味しくできる料理しかやったことがない。 そんな俺にはクッキーですら難易度が高い。 一応、レシピ通りやったつもり、だ。 でも試食したら、本当にこれで大丈夫なのかわからなくなった。 甘い方が良いのか 控えめの方が良いのか しっとりさせた方が良いのか サクサクさせた方が良いのか 女の子の好みがわからない。 正直、以前贈ったアクセサリーもあれで良かったのか、今でもわからない。 喜んでいたから良かったんだ、と信じたいが・・・・・・。 姉貴に『女の子は役者だから、言葉通りに受け取らないように』って言われてたし・・・・・・。 あ、でも『あんたは取り敢えず行動、悩むのはその後にしなさい!!』 とも言われたし、これで良いか。 時間も、あまりないし。 チラと腕時計をる。 少し、急ぐか。 そろそろ新青森駅に行かないとヤバい。腕捲りを戻し、形の悪いクッキーをつまみ食いしつつラッピングする。 ・・・・・・全体的に不恰好なのは愛嬌だ、うん。 と、ノンビリしてる場合じゃない、急がないと新幹線に乗り遅れる。 俺は車の鍵を手に取り、家を飛び出した。
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