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「・・・・・・こんなもの、か?」
いや、もうちょっとか?
ダメだ、わかんない・・・・・・。
イマイチ、これで良いのか自信が持てない。
何せ、お菓子作りなんて初めての経験だ。
炒飯やカレーのような簡単に、しかも大雑把にやっても、そこそこ美味しくできる料理しかやったことがない。
そんな俺にはクッキーですら難易度が高い。
一応、レシピ通りやったつもり、だ。
でも試食したら、本当にこれで大丈夫なのかわからなくなった。
甘い方が良いのか
控えめの方が良いのか
しっとりさせた方が良いのか
サクサクさせた方が良いのか
女の子の好みがわからない。
正直、以前贈ったアクセサリーもあれで良かったのか、今でもわからない。
喜んでいたから良かったんだ、と信じたいが・・・・・・。
姉貴に『女の子は役者だから、言葉通りに受け取らないように』って言われてたし・・・・・・。
あ、でも『あんたは取り敢えず行動、悩むのはその後にしなさい!!』
とも言われたし、これで良いか。
時間も、あまりないし。
チラと腕時計をる。
少し、急ぐか。
そろそろ新青森駅に行かないとヤバい。腕捲りを戻し、形の悪いクッキーをつまみ食いしつつラッピングする。
・・・・・・全体的に不恰好なのは愛嬌だ、うん。
と、ノンビリしてる場合じゃない、急がないと新幹線に乗り遅れる。
俺は車の鍵を手に取り、家を飛び出した。
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